母乳にはミルクと違って優れた点がたくさんあります。
栄養的にはミルクは十分に整っていますが、まだまだ母乳には解明しきれていない未知なる部分がたくさんあります。昨今の調査で、母乳には赤ちゃんをリラックスさせる成分が入っていることがわかっています。
赤ちゃんはこのことをよく知っています。生まれてすぐで、自分では動けない、表現もできない赤ちゃんが、純粋な本能と愛情で求めるものがおっぱいです。そしてそのおっぱいは、おなかを満たすだけでなく、安らかな眠りを誘ったり、心を静めたりしてくれることを本能でよく理解しています。
だから、おなかがすいているとき以外もお母さんに対してすぐにおっぱいをほしいクチュクチュお口をすることがあります。こんなときはくわえてもおなかがすいているときのように真剣に飲むのではなく、軽く吸っていたり、すぐ眠ったりしてしまいます。時には、おもちゃのかわりにくわえることで好奇を満たしたり、お母さんへの甘えの表現として吸ったりすることもあります。
自分である程度、声を出したり動けるようになるまでは、おっぱいを吸う行為はあらゆる意思の表現であり、コミュニケーションでもあるのです。こんなときあわてると、お母さんは、赤ちゃんがおなかが満たされていないのかと思って、すぐに哺乳瓶でミルクを足してしまいます。
赤ちゃんの胃は入り口の締りが悪いので、おなかいっぱいでもさらにミルクは入ってしまいます。そうすると、母乳より少し消化時間のかかるミルクでおなかはずっしり重くなり、赤ちゃんは眠ったり、静かになってしまいます。これで、さらに、(ああ、やっぱり足らない)、と誤解してしまうのです。
こうしてミルクを足すことを習慣付けてしまうと、ますます赤ちゃんは楽な哺乳瓶を好むようになり、母乳離れしてしまいます。母乳を真剣に吸わなくなると(哺乳瓶の受動的な哺乳になれて、自分で吸い出す、という自主的な吸てつが下手になる)、母乳を作る刺激が低下して、本当に母乳が減ってきてしまうのです。
普段の赤ちゃんをよく観察して、お口クチュクチュにだまされないようにしなければなりません。
ほかに母乳には、脳細胞を発達させる、体の免疫機能を高めるなどの効果もあることがわかっています。母乳を3ヶ月以上与えた子供と、与えなかった子供では、前者のほうが病気になる率が低く、また、知能指数も高めである、という研究結果も出ています。 自然が作った命にもっとも大切な不思議がここに凝縮されているような気がします。
だから、可能な限り母乳を長めに飲ませてあげるのはいいことではないか、と思います。
お母さんに肌をぴったりつけて、お母さんのぬくもりに包まれておいしいおっぱいを含む時間は、赤ちゃんにとって最高に幸せなとき。お母さんにとっても、忙しい毎日の中でゆっくりと座って、赤ちゃんだけを見つめてあげるやさしい時間。授乳は決して苦痛ではなく、母と子の静かな安らぎを与えてくれるもの。あげなきゃ、という義務ではなく、一緒に触れあう楽しみとして受け止めてみてください。